歯肉整形手術

当院では歯肉移植や歯肉整形などの外科手術も行っております。
歯肉整形の技術をAll-on-4に応用することもあります。これにより、見た目が自然に仕上がる人工歯にすることもできます。
この症例は茨城県インプラント情報ネットで解説しています。
患者様によっては、ニコッと笑った時に歯肉と上部構造の境目が見えてしまうことがあります。そんな時でも当院では、歯肉整形術で柔和に対応致します。

<正面から見たところ>

<噛む面から見たところの歯肉>

歯肉移植について

当院では歯肉移植手術も行っております。上顎口蓋などから歯肉を採取して歯肉の足らない所へ移植する手術で歯やインプラントの清掃性や長持ち、審美性(見た目)などに効果があります。

歯肉移植の必要な例

前歯部の審美性が損なわれている場合

前歯の被せ物の付け根の歯肉の厚みと高さを足しました。術前に比べて歯肉に豊隆が出て歯肉と被せ物の境目に合った黒い線は消えました。歯周組織も安定し長持ちに繋がります。

前歯部の審美的セラミック治療に合わせて、歯肉の状態も整える場合

歯茎のラインがきれいにそろいました。これにより美しさが得られましたが、美しい歯と歯肉の調和は清掃性を高めますので、健康にも良いと思います。

インプラントの清掃性が悪い状態の場合

この患者様はインプラント治療後数年使用している中で歯肉退縮が見られた為、下顎インプラント周囲の清掃性を考慮し歯肉移植を行いました。

術前の写真では、インプラントの金属部に付着する歯肉が薄い事が分かるかと思います。歯肉移植する事によって歯肉に厚みが増しインプラントで最も清掃したいアバットメント部分が健康な歯肉に覆われる事によって磨きやすい形態となりました。明るいピンクに見えるのは厚みのある健康な歯肉です。歯ブラシでこすっても痛くない丈夫な組織に変わりました。厚く角化している歯肉は血流も良くなり細菌への抵抗性も増えることが期待されます。

上顎の歯肉もきれいになっています。

歯肉退縮には様々な原因がありますのでそれらを排除する事が最も重要ではありますが、失った歯肉は移植により回復が可能な場合がありますのでご安心下さい!
当医院では、他医院で行った歯科インプラント治療に対しても、必要なら歯肉移植を行う事もできます。

インプラント周囲には硬い歯肉がある方がいいのでしょうか?

インプラント周囲の角化歯肉の存在についての考察

今までの写真を見たように、歯の周りに安定して動かない歯肉、厚みのある健康的な歯肉を専門的には「角化歯肉(かっかしにく)」といいます。それに対し、唇の裏側とつながって動いてしまう薄い歯肉を可動粘膜といいます。

世界中で多くの歯科医が、デンタルインプラント周囲の歯肉は、安定した角化歯肉が必要だと考えています。しかし、ごく一部ですが「インプラントに角化歯肉なんかいらない」と主張する歯科医もいるようです。

それぞれに、エビデンス(科学的根拠)があるのでしょうか?

信頼できる論文でWarrer博士は、角化粘膜の欠如したインプラント周囲は,角化粘膜のある部位よりプラークによる組織破壊に 対して抵抗性が低く,退縮や付着の喪失量が大きいため,インプラント周囲には十分な非可動 性の角化粘膜が必要であると書いています。

しかし、逆の論文を書いた博士もいました。Wennstrom博士は、角化粘膜の幅が2mm未満と2mm以上のものとを比較して, 両者でプラーク指数,歯肉炎指数などの臨床的評価に差がなかったといいます。

両者とも有名な博士ですので、「いまだに結論は出ていない」という判断が正しいと主張する人もいます。

3つの異なる考え方です。なんか、科学的ではないですね。

しかし、最終的な人工歯を入れた後の軟組織の退縮を少なくするには、インプラント周囲にしっかりと動かない角化粘膜があった方が良いという結論は科学的に示されています。

私は、角化歯肉なんかなくても良いといっているグループの研究論文をよく見てみました。すると、大部分が古い論文。古い研究はだめと言っているのではありません。時代背景をしる必要があります。

その当時は、スウェーデンのブローネマルク博士が、インプラントを人間に施して間もなくの時代です。インプラント治療を受けられる人の条件は、無歯顎ということでした。

つまり、現在のように「歯が数本抜けただけ」という人はいなかったのです。

歯周病の人はインプラントをやっていなかった時代の論文です。さらに、治療を受けた患者には徹底的な口腔内清掃が行われていました。

布やスーパーフロスを使って、高床式のアバットメントをまるで靴磨きのように丹念に磨いていました。

現在の歯肉から白い歯が立ち上がる形ではなく、見た目は我慢の歯磨き重視の形態をしていました。しかも、週に一回、歯周病科に通いPMTCを行っていたケースもありました。

こうして書かれた論文で「徹底的な清掃をすれば、歯肉は無くても良いですよ。」といったわけです。

彼らに悪意はありません。角化歯肉が無ければ問題が出やすいのは、清掃性に難があるからだといいたかったのかもしれません。

現にその時代に書かれたブローネマルク博士の論文集が出版されていますが、そこには、角化歯肉はあった方が良いという記述もあり、角化歯肉を移植した手術瘢痕も確認出来ました。

現在の「インプラント成功基準」には、審美性も含まれていることから、現在は角化歯肉のあるインプラント治療がゴールとされていることは明確です。

さらに、当時分かっていなかった、現在のエビデンスを加えてみます。
難しい用語が出てきますが、話をすすめさせて頂きます。

インプラント周囲の粘膜貫通部では,上皮付着部の長さは、平均2mmです。そこに続く結合組織層の幅は1~1.5mmです。つまり、角化歯肉がたとえ2mmだけあったとしても、それは健康なコラーゲン組織で守られているインプラントとは言えないわけです。現在では、バオイロジックウィズの考え方からすれば、必要な角化歯肉の幅は最低3.5mm、できれば4mm以上の角化歯肉が理想だという事が分かっています。

話をあの古い論文に戻しましょう。

Wennstrom博士らの実験では歯肉の幅2mmを境に論文を書いています。なぜ、2mmなの?根拠はありません。現在では、インプラント周囲に必要な角化歯肉は3.5mmでも少ないことが分かっていますので、2mm以下と2mm以上で差が無かったという論文は、角化歯肉は要らなかったという論文として読んではいけない事が分かります。

時代背景を考える必要があるし、最近分かったエビデンス(科学的根拠)と合わせて考えていくと本当の事が見えてくると思います。

この内容は、地域のレベルアップを目的に2017年の茨城県歯科医学会にて学会発表させて頂きました。