コラム
オールオンフォー人工歯は毎年外し掃除すべきか?
コラム2025/11/28
オールオンフォー治療後、メインテナンスの度に人工歯は外して掃除した方がいいのか?
【結論】オールオンフォーの人工歯を毎年外して掃除する事は推奨されていません。
30年ほど前は、「年に1回は人工歯を外して掃除すべきだ」という考え方が一般的でした。
しかし、現在では、理由もなく頻繁に取り外すことは、インプラント周囲組織やインプラント部品に悪影響を及ぼす可能性があることが分かっています。
✅ なぜ頻繁に外すのは良くないのでしょうか?
歯科インプラントの専門家の研究論文を紹介しながら説明します。
1. スクリューや接合部が摩耗・破損するリスク
人工歯(上部構造)は、インプラント体とスクリューで強固に固定されています。これを何度も外したり締め直したりすると、スクリューのネジ山が摩耗し、緩みや破折が起こりやすくなります。
📚 参考文献:
Binon PP. The effect of repeated screw tightening on screw joint stability. J Prosthet Dent. 1995;74(5):453-459.
「繰り返し締結を行うと、ネジの保持力が低下する」と報告。
2. 接合部から細菌が侵入し、感染リスクが高まる
上部構造を外すことで、インプラントとアバットメントの接合部に唾液や細菌が侵入しやすくなります。これにより、**インプラント周囲炎(骨の炎症)**が発生する可能性が高まります。
📚 参考文献:
Quirynen M. et al. The influence of the implant surface roughness and the loading protocol on peri-implant health. Clin Oral Implants Res. 2006;17 Suppl 2:172–184.
「マイクロギャップからの細菌侵入が感染の原因となる可能性がある」と報告。
3. 上部構造を外しても清掃効果には限界がある
上部構造を外さなくても、日々の丁寧なセルフケアと、歯科医院での定期的なプロフェッショナルクリーニングを組み合わせれば、充分にインプラント周囲の清掃は可能です。
📚 参考文献:
Lang NP et al. Maintenance care of patients with dental implants. J Clin Periodontol. 2004;31 Suppl 6:128–132.
「定期的なメインテナンスによりインプラントの長期予後は改善される」と示唆。
✅ どんなときに人工歯を外すべき?
当院では、明確な理由があるときのみ上部構造を慎重に取り外して確認・清掃・修復を行います。たとえば次のような場合です:
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ネジのゆるみやカタつきがある
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レントゲン検査で骨の変化が見られる
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不快な臭いや痛みなどの異常がある
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上部構造の破損や清掃困難な汚れが認められたとき
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6年以上外しておらず、患者が外した清掃を望む場合。
🔒 結論:むやみに外すことはせず、必要なときにだけ専門的に対応します
現在の歯科医療では、「上部構造は外さず、できる限り長期安定させる」ことがインプラントの成功につながるとされています。
オールオンフォー治療後のメインテナンスにおいて大切なのは、日々のセルフケアと、専門的な定期メインテナンスです。むやみに外して掃除するよりも、しっかり固定された状態を保ち、異常の有無を定期的に確認することが、インプラントを長持ちさせるカギとなります。
🦷 当院では、最新の科学的根拠に基づいたインプラント治療とメインテナンスを行っています。
「人工歯は外さないと不安」「以前の医院では外していたけど大丈夫?」という不安がある方も、どうぞお気軽にご相談ください。
ICOI(国際インプラント学会)認定医が、あなたの状態に応じた最適なメインテナンスをご提案いたします。